食いしばり歯軋り、ボツリヌス治療について
ボツリヌス治療
日常の生活で歯ぎしりや食いしばりをしていませんか?
近頃、歯ぎしりや食いしばり、また、それらからくる首こり肩こり偏頭痛でお悩みの方が多くいらっしゃいます。その多くが無意識で食いしばっていて、ある時ふと食いしばっていることに気付く方や、眠っている最中に歯ぎしり食いしばりをしていて、朝起きたときに顎が疲れている。またはパートナーに指摘されたりして気付く方です。また、歯ぎしり食いしばりで歯にヒビが入って虫歯になられたり、歯や歯根が破れたりする方も増えてきました。
歯ぎしり・食いしばりは歯を破壊し、身体にも様々な障害を起こしますので、放置せずに早めに解決することが必要な場合があります。
今回は歯ぎしり・食いしばりの原因や弊害、ボトックス治療で歯ぎしり・食いしばりを改善していく治療法について詳しく解説していきます。
歯ぎしり・食いしばりの原因
過蓋咬合による歯ぎしり・食いしばり
過蓋咬合とは深い噛み合わせのことで、不正歯列のひとつです。下の歯に上の歯が覆いかぶさるほど深い噛み合わせで、奥歯で強く噛みしめてしまいます。また、噛み合わせのバランスが悪いとその部位を無意識に削ろうとして歯ぎしりする方もおられます。この場合は咬合調整や歯列矯正と共にボトックス治療で改善していきます。
奥歯で嚙む癖がある
現代の食事は柔らかい食べ物が多く、前歯を使わずに奥歯で嚙む習慣が付いてしまいます。奥歯で嚙むことで筋肉に強い緊張が生まれ、脳がその緊張を記憶するため睡眠中でも奥歯では歯ぎしり・食いしばりするという悪習慣が生まれてしまいます。
咬筋が発達してエラが張っているように感じる人が多いことが特徴です。
この場合はボトックス治療で筋肉の緊張を緩和させながら、噛み合わせの高さを調整し、場合によってはマウスピースなども併用して治療を進めていくことで改善していきます。
ストレスによる歯ぎしり・食いしばり
現代社会や人間関係によるストレス、新型コロナウイルスによって人との交流が遮断されることで起こるストレスなど様々な要因で歯ぎしり・食いしばりをしてしまう方が増えてきています。また、パソコンやスマートフォンの普及で下を向く姿勢が増えたため上下の歯が当たる時間が増えたことも要因の一つでしょう。
こういった場合はボトックス治療を半年に一度位ほ定期的に行うことで、歯ぎしりや食いしばりの辛さを改善できる可能性があります。
歯ぎしり・食いしばりによる弊害
歯ぎしり・食いしばりを行うことで、以下のような弊害があります。
- 首こり、肩こり、偏頭痛
- 熟睡できない(起きた時の倦怠感や顎の疲れ)
- 顎関節への過度な負担による顎関節症の発症
- 歯が欠けたり、折れてしまう可能性がある
- 虫歯になりやすくなる
- 詰め物、被せ物が外れやすくなる
- エラが張る、顔が大きくなる(咬筋が発達してしまう)
- 頭痛、肩こりがある
- 歯の摩耗
- 歯周病を進行させてしまう
このような弊害があります。しかし、自覚されていない患者さんもいらっしゃるため、次のチェックリストを参考にしてみてください。
歯ぎしり・食いしばりのチェックリスト
- 日中に上下の歯があたり、食いしばっていることに気付いた
- 朝起きたら顎の疲れ、熟睡できていない感じがある
- 歯ぎしりや食いしばりを指摘されたことがある
- 首こり肩こりがひどい
- だんだんエラが張ってきた。顔が大きくなってきた
- 頬の筋肉にはりやこりがある
- 知覚過敏の歯がある
- 詰め物が取れやすい
- 歯がすり減って噛めない部分がある
- 歯でお口の中を傷つけたことがある(口内炎になったことがある)
このチェックリストに該当することがあれば、一度いらっしゃってください。何もなければ安心ですし、歯ぎしり・食いしばりがあれば早めに対処することが必要でしょう。
歯ぎしり・食いしばりをボツリヌス(ボトックス)治療で改善する
ボトックス(ボツリヌス)とは、ボツリヌストキシンと呼ばれる複合毒素から毒素を取り除かれて抽出されたタンパク質の一種です。
美容の世界ではシワ取りで使用されているので有名ですが、歯科では筋肉を弛緩させる作用があるため、歯ぎしり・食いしばりに有効な治療法です。
歯科で治療で得られるメリット
- 歯ぎしり、食いしばりの改善
- 顎関節症の改善
- 発達した咬筋を弛緩させる(いわゆる小顔効果)
- 歯ぎしりが原因の歯周病治療による原因除去
ボトックス(ボツリヌス)治療の効果の持続力
効果の持続力には個人差がありますが、4〜6ヶ月が概ね目安となっています。永続的な効果があるわけではありませんので、定期的に治療を行うことで効果の持続と改善が顕著になります。また、持続時間が長くなっていく傾向もあります。
定期的な治療で現在の状況を歯科医師にお伝えしながらどれだけ継続するべきかを話し合いましょう。