どうして虫歯になるの?
虫歯の原因と予防法をご紹介
冷たいものが歯にしみたり、何もしていないのにズキズキと歯が痛んだりすることはありませんか?
もしかするとその症状、「虫歯」かもしれません。
虫歯は、日本人が歯を失う二大原因のうちの1つといわれており、さまざまな要因が重なって発生します。
こちらでは、虫歯の原因や、自宅でできる虫歯予防法についてご紹介します。
Contents目次
こんなお悩みありませんか?
- 冷たいものがしみる
- 子どもの歯の痛みに悩んでいる
- 歯がズキズキ痛む
- 歯の一部が黒くなっている
- 歯と歯茎の境い目が濁っている
- 歯に穴があいている
虫歯について
虫歯とは
虫歯は、日本人が歯を失う二大原因の1つで、お口の中に存在する細菌(ミュータンス菌など)が原因となり発症します。
虫歯の原因となるミュータンス菌は、食べ物や飲み物に含まれる砂糖などの炭水化物を分解して「酸」を作りだします。
ミュータンス菌が出す酸によって、歯の表面の硬い組織とカルシウムが溶け出すことで歯がもろくなってしまい、歯に穴が空いてしまうのです。
虫歯を放置したままにしてしまうと、どんどん症状が進行し、やがて歯を失ってしまいます。
虫歯は歯周病と同じように、初期のころは痛みなどの自覚症状が少ないため、症状が重症化するまで自分では気づきにくいのが特徴です。
大人と子どもの虫歯の違い
大人と子どもの虫歯の大きな違いは、子どもの歯のほうが虫歯になりやすいことです。
乳歯は、永久歯にくらべてエナメル質がやわらかく弱いため、虫歯の進行が速く進んでしまう特徴があります。
また、奥歯の溝や、歯と歯の間にも虫歯ができやすいです。
奥歯の溝は複雑な形をしているため、プラーク(歯垢)などの汚れがたまりやすく、虫歯になりやすい部位でもあります。
さらに、奥歯の歯の間はすき間がほとんどないので歯ブラシの毛先が届きにくく、なかなか汚れを落とすことができません。
大人の虫歯は、歯の根元と過去に治療をした歯に虫歯ができるケースが多くみられます。
歯周病によって歯茎が下がると歯の根面が露出し、露出した根面にプラークが付着すると虫歯になってしまいます。
また、過去に治療をした歯は詰め物と歯の間に段差ができるため、そこにプラークがたまり虫歯が発生してしまうのです。
年齢別で好発部位が異なります
虫歯は、年齢によってできやすい場所があります。
若年者では、「奥歯の溝の部分」や「前歯と歯の間」に多くみられます。
奥歯の溝の部分は、食べカスやプラークがつきやすいので虫歯になりやすくなります。
また、歯と歯の間も歯ブラシの毛先が届きにくいため汚れが残り虫歯になりやすいので、フロスや歯間ブラシを使用して磨きましょう。
若年者と違って、高齢者の虫歯の発生部位は異なります。
高齢者で多くみられる部位は、「歯と歯茎の境目の根元の部分」です。
これは、年齢とともに歯周病が原因で、歯茎が下がってくることに関係します。
歯茎が下がって歯根が露出すると、虫歯に弱い象牙質が表に出てくるため、簡単に虫歯になってしまうのです。
お口の中の㏗(ペーハー)は常に中性(㏗7)に保たれているのですが、食事などで糖分を摂取すると㏗は酸性に傾いてしまいます。
歯根の部分は象牙質でできており、歯根が露出してしまうと㏗6.2程度でも歯が溶け出すといわれています。
その結果、歯根が見えている歯と歯茎の境目は、弱い酸でも虫歯ができやすくなるのです。
虫歯の進行状況
エナメル質、象牙質、歯の神経へと虫歯が進んでいく過程は、おもに5つの段階に分けられています。
01Co(初期虫歯)
Coは虫歯になりかけの状態で、まだ歯に穴が空いていない初期虫歯の状態を指します。
初期虫歯は、歯の表面が溶けはじめ白くなっている状態です。
これを脱灰(だっかい)といって痛みはありません。
虫歯の原因となるミュータンス菌は、食べ物や飲み物に含まれる糖分をエサにして「酸」をつくり歯の表面を溶かすことで虫歯が発症します。
しかし、この段階であれば、フッ素入りの歯磨き粉を使ったり、丁寧に歯磨きをして汚れを落としたりすることで、歯の再石灰化を促進させることが可能です。
とくに、就寝中はお口の中の細菌が増えるため、夜の歯磨きは丁寧に行いましょう。
02C1(エナメル質の虫歯)
C1は歯の表面のエナメル質が溶けはじめ、表面がザラザラしたり、歯に小さな穴が開いたりした状態を指します。
エナメル質に限局しているため、痛みはありません。
この段階では、虫歯になってしまった部分を必要最小限に削り、プラスチックの白い材料を詰めて治療します。
小さな虫歯ですので、治療回数も少なく済むケースが多いです。
03C2(象牙質の虫歯)
C2は、虫歯がエナメル質の下の象牙質まで達した状態を指します。
この段階では、甘いものや冷たいものがしみるようになったり、直接触れると痛みを感じたりすることがあるため、治療の際には麻酔をして歯を削ります。
痛みなどの自覚症状がでているため、症状が進行している状態です。
虫歯が小さければ歯を削って白い詰め物をする治療で終わる場合もありますが、より深く虫歯が進行してしまっていると、歯を削ったあとに型取りをして銀歯などの詰め物を装着する必要があります。
04C3(神経まで達した虫歯)
C3は、虫歯が神経まで進行した状態を指します。
冷たいもの・温かいもの・甘いものなどがしみたり、何もしていなくてもズキズキと激しい痛みを感じたりすることがあります。
また、虫歯が神経にまで達した状態になると、麻酔をして神経をとる治療(根の治療)が必要です。
根の治療は、壊死した神経を取り除くため、治療の回数が根の状態によって変わります。
05C4(歯根まで達した虫歯)
C4は、歯がほとんど無くなり、歯根だけが残っている状態を指します。
神経が死んでしまっているため痛みを感じない場合が多いのですが、根の先が感染し膿がたまっている場合は強い痛みを感じることもあります。
この状態になると、抜歯になるケースが多いです。
虫歯の原因・メカニズム
虫歯のメカニズム
●歯垢・プラークの蓄積
虫歯は歯垢(プラーク)が原因です。
プラークに含まれる細菌が、スクラムを組んで頑固な汚れに変身した状態がバイオフィルムです。
バイオフィルムは、お風呂場の排水口や台所のシンクにできるヌメヌメとした汚れに似ており、歯ブラシだけでは取り除くことができません。
歯科医院で専用の器具を使い、クリーニングをしてもらうことで取り除くことができます。
虫歯は原因となる細菌が、食べものに含まれる糖分をエサにして高濃度の酸をつくり歯を溶かすことで発生します。
さまざまな要因が重なることで発生しますが、そのなかでも大きく関わっているのは糖分(ショ糖)、虫歯菌(ミュータンス菌)、歯の質(エナメル質・象牙質)の3つです。
この3つの要素が重なると、時間の経過とともに虫歯ができます。
●脱灰と再石灰化
歯は脱灰(だっかい)と再石灰化を繰り返しています。
脱灰とは、ミュータンス菌が出す酸によって、歯に含まれるカルシウムやリンなどのミネラル成分が歯から溶け出した状態を指し、再石灰化とは、溶け出したミネラル成分が、唾液の働きによって再び歯の表面に戻って修復される現象を指します。
脱灰の状態が、再石灰化の力よりも上回ってしまうと虫歯になります。
脱灰を進ませないようにするためには、丁寧な歯磨きと規則正しい食事が大切です。
歯の再石灰化を促すためには、砂糖の代わりにキシリトールを用いたり、フッ素配合の歯磨き粉を使ったりして歯を磨くといいでしょう。
また、唾液にも再石灰化作用があるので、自然に歯を修復してくれる機能が備わっています。
こんな方は注意
●歯並びが悪い
歯並びが悪いと、審美性に悪い影響を与えるだけでなく、虫歯や歯周病にもなりやすくなります。
歯並びがきれいに揃っていると歯を磨きやすいので、虫歯の原因となるプラークをきれいに取り除くことができます。
しかし、歯並びが悪いと、歯ブラシの毛先が届きにくく汚れが残ったままになりやすいです。
その結果、細菌が増殖し虫歯になってしまいます。
●歯の質が弱い
歯の質の強さには個人差がありますが、表面のエナメル質の構造が弱いと虫歯になりやすくなります。
●食生活
虫歯になりやすい食べ物や飲み物にも気をつけましょう。
とくに「粘っこくて歯にくっつきやすいもの」「砂糖がたくさん入っているもの」「口の中に長く留まりやすいような食品」には要注意です。
具体的には、キャラメル、ガム、飴、ビスケット、クッキー、カステラ、チョコレート、ジュース、スポーツドリンクなど、どれも美味しいので習慣化しやすいお菓子や飲みものになります。
●喫煙
タバコを吸う習慣のある人は、お口の中が虫歯になりやすい環境になります。
タバコを吸うと、唾液の量が減りドライマウスを引き起こすので、自浄作用が働きにくくなるからです。
また、タバコによるヤニなどの着色汚れはザラザラとしているため、プラークなどの汚れがたまりやすくなります。
さらにタバコに含まれる有害物質は、お口の中の抵抗力を下げ歯周病が進行しやすくなり、歯の根っこの部分が露出することで、そこに虫歯になりやすいのです。
●妊娠
妊娠中の虫歯や歯周病にも気をつけましょう。
妊娠中はホルモンの変化の影響で、プレボテラ・インターメディアという歯周病菌が増加します。
さらに、唾液の粘性が強くなるので、お口の中の自浄性が低下し歯肉炎をおこしてしまうため歯茎から出血しやすくなります。
また、つわりによって奥歯を磨くことが難しく、食事や間食の回数が増すため、お口の中が酸性に傾いた状態が続き虫歯になりやすくなります。
子どもの虫歯の原因
●飲みもの
虫歯の原因となるミュータンス菌は、食べものや飲みものに含まれる砂糖をエサにして酸をつくるため、ジュースやスポーツドリンク、コーラなどを子どもに与えるのは控えることをおすすめします。
牛乳、お水、お茶などは酸性度が低いため、虫歯になるリスクが少なくおすすめです。
●食べもの
糖分が多く、歯にくっつきやすい食べものや、口の中に長い時間留まりやすい食べものには気をつけましょう。
とくに、ガムやキャラメル、飴やチョコレートなどには砂糖が多く含まれており、歯にくっつきやすいので要注意です。
また、子どもがなかなか泣き止まないからといって、甘いお菓子を与えて泣き止ませるのも習慣化するリスクがあるので気をつけましょう。
しかし、甘いものを全く食べてはいけない訳ではありません。
口に糖分が残りにくいといった点では、プリンやアイスクリームなどのサラリとした形状のものを選ぶとよいでしょう。
●哺乳瓶
虫歯は哺乳瓶で甘いものを飲んでも発生します。
長い時間をかけて糖分をお口の中に入れてしまうことで、常に酸性の状態になり歯が溶かされ虫歯になってしまうのです。
哺乳瓶の不適切な使用によりできた虫歯を「哺乳瓶う蝕」と呼びます。
卒乳の時期を逃し、前歯が生えてきても哺乳瓶でミルクを与え続けていると、ミルクが前歯に接触している時間が長くなるので虫歯になりやすくなります。
また、哺乳瓶で飲ませると、コップやストローで飲んだときとは比較にならないほど糖分がお口の中に長く停滞するため、コップを使って飲めるようになったら、哺乳瓶であげるのは極力避けるようにしましょう。
当院での虫歯に対するアプローチ
痛くない虫歯治療
●Co
自然治癒ができる状態です。
歯は削らず、歯磨きを丁寧に行うことで汚れを落とし、フッ素塗布をして再石灰化を促します。
フッ素は、定期的に塗ることをおすすめします。
●C1(施術回数:1回)
歯の表面に小さな穴が開いている状態です。
麻酔は使わず虫歯の部分を削って除去し、白いプラスチックの材料を詰めて治療します。
●C2(施術回数:2~3回)
虫歯が進行し、冷たいものがしみたり痛みを感じたりする状態です。
神経に近い場合は局所麻酔をして治療します。
神経部位まで歯を削った場合は、神経を保護する薬を塗布し銀歯や白いプラスチックの材料を詰めて治療します。
●C3(1か月~数か月)
虫歯が神経にまで達してしまっている状態です。
強い痛みを感じるため、局所麻酔をして歯の神経を取り除く治療します。
根の治療の後には、型どりをしてクラウン(銀歯の被せ物)を装着します。
●C4(数か月~半年)
見えている部分の歯質が無くなり、歯の根っこの部分だけが残っている状態です。
歯を残して治療するのが難しいため、抜歯になるケースがほとんどです。
抜歯後は、ブリッジ・入れ歯・インプラントなどで歯を補います。
●神経をとる治療
局所麻酔後、神経を取る治療をします。
麻酔がきれたあとは、歯が浮いているような感じがしたり、噛むと痛む、何もしなくても痛みが出る場合がありますので、処方された痛み止めを飲み、食事を食べるときは極力反対側の歯でかめるようにするとよでしょう。
●根管治療
根の治療は、根の中がきれいになるまで時間をかけて治療します。
治療中は、一時的に仮の蓋をかぶせますが、この蓋が完全に取れてしまった場合はご連絡ください。
神経を取ったあとの歯の中には薬が入っているので、仮の蓋が取れたままだと中が汚染され、薬の効き目が落ちてしまいます。
当院では、出来るだけ歯を残すことを第一に考えて治療に取り組んでいます。
しかし、初期治療の段階で、痛みが取れたからといって途中で治療をやめてしまうと再発につながり、歯を抜くことになる場合があるため気をつけなくてはいけません。
ホームケア指導
当院では、歯科衛生士が、患者さま一人ひとりに合ったブラッシング指導を行います。
また、不規則な食生活は虫歯のリスクを高めてしまうため、患者さまそれぞれのライフスタイルに合った生活改善の指導も行っていますので、お気軽にご相談ください。
再発予防の大切さ
自宅でできる虫歯予防
大人も子どもも「食後の歯磨き」「就寝前の歯磨き」「正しい食生活」は虫歯を予防するために大切です。
●食後の歯磨き
特に子どもは、大人にくらべて虫歯になりやすいので注意が必要です。
食べたあとはしっかりと歯を磨きましょう。
●就寝前の仕上げ磨き
虫歯は夜作られることが多いため、就寝前の仕上げ磨きも丁寧にしてあげてください。
●食事の間を開けましょう
糖分の高いジュースやお菓子をダラダラと飲んだり食べたりすると、お口の中が常に酸性に傾き虫歯になりやすくなるため、しっかりと時間を決めて食べることで、虫歯はある程度防ぐことができます。
●キシリトール配合のガムやタブレット
キシリトールは、歯の再石灰化や虫歯の原因となる菌自体を弱める効果があるため虫歯予防に非常に有効です。
ガムをかむと唾液がたくさん出るので、唾液による自浄作用や歯の再石灰化も期待できます。
よくある質問
-
虫歯治療は
どのくらいの期間がかかりますか。 -
1回~数カ月かかることがあります。
一般的に虫歯の進行が進むと、回数も増えます。
早めの受診をおすすめします。
-
定期検診は必要ですか?
-
定期検診は必要です。
定期的に口の中の状態を確認してもらうことで、歯や歯肉の状態の変化に早く気づき虫歯の早期発見・早期治療につながります。
-
フッ素はどんな効果があるの?
-
歯にフッ素が取り込まれることで、歯質が強くなります。
-
子どもの虫歯は、いずれ生え変わるからそのままでも大丈夫?
-
子どもの歯の虫歯を放置してしまうと、大人の歯に悪い影響を与えることがありますので、放置せず治療しましょう。
-
子どもの仕上げ磨きは必要?
-
子どもの歯は虫歯になりやすいため、仕上げ磨きをしてあげましょう。
Doctor's messageドクターメッセージ
虫歯の初期症状は、自身では認識しづらく、見落としやすいのが特徴です。
そのため、気づいた頃には、手遅れとなることも多いです。
当院では、まず、レントゲン・CT・歯茎検査などの精密検査を行い、痛みや違和感の根本原因を探り当てることに力を入れています。
そして、再発がないように患者さまのライフスタイルに合わせて治療とアドバイスをさせていただきます。
町田エス歯科クリニック院長
大口 慧士
最適かつ高精度な治療を
みなさまに
エス歯科グループでは、豊富な知識と経験を積んだドクターが
あなたに合った最適かつ高精度な治療を提供いたします。
機能的治療から審美的治療までお口に関するお悩みは何でもご相談ください。
監修者情報
- 町田エス歯科クリニック 院長 大口 慧士
- 資格:歯科医師
出身大学:神奈川歯科大学
▼メッセージ
その歯だけを診るのではなくお口全体を診て原因を探り、長期的に安定した口腔環境を提供するために治療を行っております。
なぜ治らないのか、どうして悪くなったのかを見極める高い診断力、それを支えるCTやマイクロスコープなどの最新設備、インプラント、矯正など各分野のエキスパート。
生涯歯で困らないライフスタイルの実現をサポートするための環境、Dr、スタッフが、皆様をお待ちしておます。
資格 Qualification
ドクターコメント Doctor comment
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