オーバー
デンチャー

多くの歯を失ってしまった際に適応する、インプラントを活用した入れ歯治療法です。

一般的な入れ歯は、固定源が不安定であるため、すぐに外れてしまう、痛みを感じる、思うようにかめない場合があります。
そのようなデメリットをカバーできるものが、インプラントオーバーデンチャーです。

インプラントオーバーデンチャーは、インプラントに取りつけた磁石やバーなどを固定源としています。
そのため、通常の入れ歯よりも安定しやすく、クラスプをかけるために健康な歯を削る必要がない、負担の軽減につながるという特徴があります。

また、オールオン4と呼ばれる治療法と、インプラントを活用する点では同じですが、オールオン4はインプラントのブリッジです。
着脱がご自身で行えない点で、インプラントオーバーデンチャーと形状が異なります。

インプラントオーバーデンチャーのポイントは、「かみ合わせ」「バランス」「強度」が通常の入れ歯と比べて優れていることです。

見た目のよい入れ歯であっても、作製時に上下のかみ合わせのバランスが考慮されていないものや、入れ歯の強度が十分とはいえない設計のものは、食べものをかめない、すぐ外れるなどのトラブルを招く可能性があります。

入れ歯には現在のお口の中の状態はもちろんのこと、将来を見据えた設計が求められ、この設計を綿密に行わないと不安定で壊れやすい入れ歯となってしまいます。

インプラントオーバーデンチャーの場合も同様に、かむ力の向上が期待できる分、壊れにくい設計にしていくことが重要と考えています。

インプラントオーバーデンチャーは、2～6本ほどのインプラントを顎の骨に埋め込んで、顎の骨と結合したインプラントを固定源とした入れ歯治療です。

従来の入れ歯のデメリットをカバーし、歯や歯茎、粘膜の負担を抑えられる治療です。

インプラント埋入時には、視野を32倍に拡大できるマイクロスコープや歯科用CTを使用し、綿密な治療をご提供しています。

そのうえで、インプラントデンチャーはかみ合わせ、バランス、強度をかね備えた入れ歯を装着する今までにない入れ歯です。

インプラントオーバーデンチャーで要となるものは、入れ歯を支えるアタッチメントです。
アタッチメントはインプラントと入れ歯を連結させる役割があり、固定源となります。

いくつかタイプがあり、タイプごとに形状や特性が異なります。
お口の中の状態によって適応するタイプも異なります。

●ボールタイプ

インプラントの上部が丸いボタンのようになっていて、入れ歯側に装着された金属のくぼみにはめ込むような形で入れ歯を固定します。

おもに下顎に使用されます。
顎の骨の吸収が予防でき、修理が簡単にできるというメリットがあります。
しかし、歯茎と入れ歯に若干の隙間ができるため、少しだけ動いてしまうという特性もあります。

●バータイプ

インプラント同士を連結するようにバーを掛け、入れ歯に装着したクリップで挟み込むように固定します。
上下顎に歯がない場合に適応される固定方法です。

インプラントの埋入本数が6本前後必要になりますが、インプラント同士を連結させるため、安定性は非常に優れています。
しかし、ほかの固定方法に比べるとインプラント埋入本数が多く、身体の負担が大きくなる傾向にあります。

●磁石タイプ

インプラントの上部に金属を装着し、入れ歯に装着した磁石と合わせる形で固定します。
インプラントオーバーデンチャーの固定方法では、もっとも安定性に優れ、インプラント埋入本数も少なく済み、着け外しも簡単です。
また、磁石は経年劣化で固定力が低下することもありません。

しかし、磁石を使用しているためMRI検査に影響が出るというデメリットもあります。
持病があり、すでに定期的にMRI検査を受ける予定があるといった場合は、別の方法が適している可能性があります。

●ロケータータイプ

インプラント上部の外枠に溝がある形状のロケーターを設置し、入れ歯側の留め具にはめ込むように固定します。
顎の骨の高さに合わせてサイズが選べるため、骨の吸収が進んでいる方にも適応でき、部分入れ歯にも活用できます。
上顎の場合は2～4本、下顎の場合は2本ほどのインプラント埋入が必要です。

●しっかりかめるようになる

インプラントを固定源とするため、一般的な入れ歯と比べると、しっかりとかめるようになります。

●入れ歯がズレにくい

一般的な総入れ歯の場合は、粘膜に吸着させてお口の中で維持していたため、ズレやすい傾向にあります。
インプラントオーバーデンチャーの場合は、ズレる心配が少ないです。

●身体の負担がインプラントより少ない

一般的なインプラントを必要な数だけ埋め込む場合は、身体への負担も懸念されます。
しかし、インプラントオーバーデンチャーは、必要最低限のインプラント埋入で済むため、身体への負担も少なくなります。

●一般的なインプラントより低価格

一般的なインプラントよりも埋入数を抑えられるため、その分必要となる費用も安くなります。

●メンテナンスも簡単

ご自身で取り外すことができるため、入れ歯の修理や清掃も簡単です。

当院では、無理に抜歯をしてインプラントデンチャーにすることはおすすめしません。
どんなに優れたインプラントや入れ歯であっても、ご自身の歯に勝るものはないからです。

インプラントオーバーデンチャーを希望された場合は、マイクロスコープや歯科用CTで歯の根の細部まで確認させていただき、そのうえで考えられる治療法をご案内いたします。

また、当院では埋入するインプラントの数も、必要最低限の数をご提案しています。
インプラントの埋入本数が多い場合には、埋入数を2～6本に抑えられるインプラントオーバーデンチャーのご提案をする場合もあります。

少しでも患者さまの負担を抑え、治療を受けていただきたいと考えております。
少しでも不安に思うこと、疑問に思うことがあれば、お気軽にご相談ください。

インプラントは顎の骨と結合していますが、炎症に弱く、歯周病菌に感染するとすぐに広範囲に広がってしまう特徴があります。

炎症が広がっていくと顎の骨が溶けてしまい、最終的にインプラントを支えきれなくなります。

インプラントの場合は、インプラントまわりのプラークが原因で「インプラント周囲炎」を起こす可能性があります。

インプラント周囲炎によって、埋め込んだインプラントを活用できなくなることは避ける必要があります。
そのためにも、オーバーデンチャー本体と歯茎やインプラントまわりのケアが重要になります。

オーバーデンチャーを外したら、一般的な入れ歯のケアと同じように専用のブラシを用意し、洗面器を置いた流水下で洗いましょう。
また、歯茎やインプラントまわりは、清潔なガーゼを指に巻き、マッサージするようにやさしいタッチで洗います。
インプラントのお手入れについては、歯科衛生士より説明がございますので、ぜひ参考にしてください。

当院では、どんなに優れたインプラントや入れ歯であっても、自身の歯に勝るものはないという考えから、無理に抜歯をおすすめすることはありません。
まずは、マイクロスコープや歯科用CTで歯根の細部まで確認させていただき、その上で考えられる治療法をご案内いたします。

インプラントオーバーデンチャーは、一般的な入れ歯よりも「かむ力」「見た目」「機能性」に優れたものになります。
「入れ歯でもっとかみたい」「すぐに外れてしまう」など、一般的な入れ歯は悩みが尽きません。
今よりもっと生活の質を上げたい方や説明を受けたい方は是非お気軽にお問合せください。

町田エス歯科クリニック院長
大口 慧士